オンラインミーティングに参加して青ざめた話
先日、と言っても少し前になるんですが、オンラインミーティングに参加しました
「オンライン飲み会、意外と楽しくね」
みたいな声が巷で聞こえてきていた時だったので、初めての事でもあり一体どげんなもんかと少し楽しみにもしていたんです
結果から先にお伝えすると、それは期待に反してただ恐怖でガクガクブルブルが止まらなくなる体験となったのでここに報告いたします
そもそもこれは飲み会みたいな愉快なものとは違ってフォーマルなミーティングで、それも職場のものではなく、子供の学校の保護者会という事もあったんですが
こちらでは学校が閉鎖された後比較的早くからオンライン授業が開始されていたんですが、その現状報告や学校再開の見通しなどについての説明会みたいなものでした
当日朝9時、開始時刻になり予め送られていたリンクに入ろうとしました。ただ、あまり早く参加してまだ人が集まっていない状況だったら、万が一保護者が自分1人で後が学校の偉い人たちだけだったら、軽く挨拶させられた後にアメリカンジョークの1つでも言わなければならない雰囲気になるんじゃないか、そんな身の毛もよだつような場面を想像して思わず身震いをしました。結局、わざと数分遅れてリンクに入ることを決断した僕は今年で在米7年目に突入します
リンクに入るとそれは想像していたものとは少し違っていました
画面には枠に入った十数人の人たちの顔が映し出されていたのですが、どうも自分が見当たらないんです。参加者の1人としてその一枠を僕の端正なマスクが占めるとばかり思っていたので、何か操作エラーをおかしているかと思いながら話を聞いていると画面に出ているのはどうも学校関係者だけみたいでした
このミーティングは保護者が画面にあらわれる学校のボードメンバーの話をただ聞く形で行われるものである事をその時理解しました
まあ考えてみればそのはずで、もし参加する保護者それぞれの顔を登場させていたら、学校全体のミーティングでもあったので500人以上の顔が現れることになり、みんなが「Oh, where am I?」とつぶやきながら画面上を彷徨い歩く自分探しの旅に出たきり戻らないまま会が終わるようなものになっていたでしょう
寝癖を直し服も着替え、入り込む背景を気にして一生懸命パソコンの角度を調整していたあの時間は何だったんだろうかと思いつつ、話に集中しようとしました
それで話を聞いていると、どうも学校関係者達がどれほど自分らがこの難しい局面に全力で取り組んでいるか、いかに迅速に対応しているか、というような内容で、コミットメント、アチーブメントみたいな言葉がたくさん並べられていました
しばらくその内容を聞いていると画面の下に書き込みが始まりました
保護者達はミーティング中音声での発言はできないのですが、チャットの書き込みはできるシステムとなっていました
その書き込みの内容を見るとそれは皆とても穏やかと呼べる類のものではありませんでした
学校側の苦労を労い、その対応を称えるものとは全くの真逆
学校の不手際、オンラインの不具合、説明不足、対応の遅さ、他の地区に比べオンライン授業の時間が短い、問合せしても返事がない
といった批判の数々でした
「みんなめっちゃ怒ってはるやん」
まあ初めての特殊な状況で学校も対応が大変だろう、オンラインへの切替も比較的早いと思って感心までしていた僕と、他の親達との見解は大きく異なっていました
発言しているボードメンバー達ももちろんその書き込みを生で読んでいることもあり、スクリーン上ではその表情が見る見るうちに硬ばっていき、その言葉は最初の調子をすっかり失ってしまいました
そんな中書き込みはますますエスカレートし
「現状把握も碌にできていないボードは全員メンバーを入れ替えろ!」
他そこまで言ったら冠にモンスターの称号を与えられてしまいそうなものまで飛び交っていました
僕はただただ震えながらその状況を見守っていました
でもしばらくすると、さすがにこれは言い過ぎだと人々が感じたのか
「批判ばかりしても仕方がない。みんなもっと建設的な意見を出そうよ」
「先生達も大変な中一生懸命取り組んでくれているわ」
といった意見が出始めました
最終的には前向きな言葉がチャットの主流を占めるようになり
結局、学校も改善に全力で取り組んでいく、保護者側もそのサポートをしていく、みんなで少しでも子供達の教育への支障を少なくしよう、みたいな着地点に落ち着いてミーティングが終了しました
もしかしたら親自身が大変な状況にある事の影響もあったかもしれませんが、オンライン上に剥き出しとなった人々の怒りを目の当たりにしてしばし呆然としていたのですが、考えればそれはただ大切な我が子の教育が満たされていないと感じた親の真剣な反応でもあり、それに引き換え自分は全く認識が甘かったと反省しました
自分ももっと教育のことを考え、子供の成長を願おうと考えた機会になったという意味で初のオンラインミーティングは恐ろしくも意義ある経験となりました
また僕自身も成長して、いつの日かオフィシャルな場面でジョークの1つでも披露して笑いを取れるような余裕のある大人になれるよう精進するためアメリカンジョークのオンライン講座に申し込もうと思っています