執着
人からの評価が気になって仕方がない
そのくせ元々すっとぼけているもんだから
人から笑われる毎に「今に見てろよ、このおたんこなす」
なんて思って生きてきた
でも出来ることなら、そんな執着から心を自由に解き放てないかと思っている
人から何を言われようとも木偶の如き顔をして
「お主の言われる通りじゃ、かたじけない」と応じる
そんな悠然とした感じになれないかと願ってきた
異国で暮らしているせいか、ただ気づいてないだけか、最近笑われる機会が減った気がして、その見苦しい気持ちがさほど出てない事に気づき
「我ついに悟りの境地に至れり」
なんて歓喜の雄叫びを上げようとしていたら
先日見事に旧知の卑しい自分と再会を果たす機会があった
自尊の念が脅かされたとしてかなりプンプンしてしまったのである
そしてすっかり消沈してしまった
この捉われからまるで離れられそうにない
きっと爺さんになってもきっちり激昂して人をナス呼ばわりしているに違いない
もうこうなったら悟りは諦め、人の評価に捉われる己と一生向き合っていくしかないのだろう
むしろより盛んに執着して前へ進む弾みとしてトコトン利用してやろうかと思う